2019年 令和元年
「いちばんよくわかるタティングレースの基本BOOK」杉本ちこ著 新版に向けて。

〜たくさんの方に感謝を〜



【はじめに】

カチカチカチカチ…
シャトルに糸を巻く音。静かに優雅に続く時間。

子供のころから、母がタティングレースをする姿が好きでした。

そんな環境で育ったからか、幼稚園の頃から、編み物の先生になるのが夢で、高校卒業後は、本格的に編み物の講師の勉強と、服飾デザインの勉強をし、22歳で編み物の先生としての生活がスタートしました。
結婚後も夫の転勤に伴い、海外を含め引っ越しの度、各地で長い間編み物全般を教えてきました。

どの編み物も自分のオリジナルを製図してお教えしていましたが、その中でも、タティングレースは細い線の連続。デザインすることの困難さと無限に広がる可能性に魅力を感じ、いつしか他の編み物よりタティングレースのデザインばかりしていました。

2011年に本帰国後は、お教えおするのはタティングレース一本に絞ろう!と決め、
日々、タティングレースのオリジナルデザインを考え、それをわかりやすく製図し直し、皆様にお伝えしています。

タティングレースは、小さなシャトルに糸を巻くだけで、手軽にどこでも持ち運べて、簡単なものから複雑なものまで夢中になって作り上げられます。
こんなに楽しい手芸を是非たくさんの方に知ってほしい。
タティングレースで毎日を楽しく過ごしてほしい。

最初が難しいタティングレースですが、どうにか沢山の方々にできるようになってほしいという気持ちで、丁寧にわかりやすく、
私は、まずは『リング』からお教えしています。

『ブリッジ』は、テンションの移行ができていなくていても、なんとなく進んでしまうので、タティングレースの基本の基本、ダブルステッチが出来た気になってしまいがちですが、

『リング』は、最後に芯糸を絞って動かなければ、リングになりません。それは、=(イコール) タティングの基本の『ダブルステッチが出来ていない。。。』ということの証なのです。

それこそが、あえて難しくても、私がリングを最初にお教えしている理由です。

初日は、テンションの移行ができ、きちんとリングが1個でも絞れればいいのです。
(もし初日にリングが一つも絞れなくても大丈夫。落ち着いてまた改めてやってみたら、いつしかきっと出来るようになります。)

私が名付けた『ランダムリング』は、目数もリングとリングの間も適当だから『ランダム』。
ひたすらそれだけ練習して、いつの間にか可愛いアクセサリーが出来上がります。(私はいつもランダムリングのピアスを一番身につけています。)

ランダムリングがすいすい出来ないのに、難しい作品に取り掛かり、図面を読むことに気がとられると、ダブルステッチがなかなか綺麗に揃わないままになってしまいます。

目標は、よそ見してでもランダムリングが出来るようになること。いっぱい作れば、自然に手がスムーズになります。
手がスムーズになれば、糸が喜び、つやつやと表面が輝いている瞬間がきっと現れます。

それが出来るようになったら、少しずつ技法を習得していきましょう。

『トリプルアクセルを飛ぶ前に、まずはスケート靴を履いて、転ばず氷の上を滑れるようになること。』が大事です。

是非、この本で、リングをいっぱい練習して、タティングの扉をくぐってくださいね。
その後に続くタティングレースの無限の美しさに魅了されることと思います。

2015年、この「いちばんよくわかるタティングレースの基本BOOK」新刊を出版させていただき、
お陰様で、増刷を重ね、この度新版として、また印刷されることになりました。
内容は新刊当初から変わりませんが、
また新たにこの本を手にとってくださった皆様が、「タティング大好き♡」になることを
心から願っています。

 そしてきっと、たくさんの皆様に、キラキラと輝く日が訪れますように。

愛を込めて
杉本ちこ